債務整理その2・特定調停

特定調停とは、裁判所に仲裁に入ってもらい、債権者と債務返済に関して話し合いをする制度です。

裁判所を使う手続きのため、難しいのでは? とハードルが高い印象を持つ人もいますが、法律家などの専門家を使わずとも同等の効果が期待できるので、費用対効果の高い債務整理の方法です。

特定調停とは

民事調停の中でも債務問題に特化した調停で、個人債務だけではなく、法人の債務整理にも利用できます。

大型案件としては大阪ドームの債務整理などに活用された例もあります。

個人の債務整理の方法としては、その後にできた「任意整理」により、特定調停の利用者は減少傾向にありますが、費用が安いなど任意整理よりも優れた面もあります。

個人債務の場合、主に毎月の返済額を減額してもらう・過払い金の返還をしてもらうなど、任意整理と同様の効果があります。また、個人債務の場合は、簡易裁判所に申立をするのが一般的です。

特定調停のメリットとデメリット

メリット

申立すると裁判所より債権者に対して申立受理通知書などが送付されます。通知書を受け取った債権者はその時点から、債務者へと直接取り立てができなくなります。

また、任意整理同様、利息や遅延損害金もその時点でストップするので、交渉成立までの期間に債務が増えることはありませんし、将来利息もかかりません。

任意整理と似ているのですが、特定調停は法的手続きなので、競売や差押えなどの強制執行、また、手形などの取り立てを止めることができます、但し、特定調停の申立と同時に「事前措置」という手続きが必要となります。

また、任意整理よりも費用がとても安く押えられます。個人の債務の場合、申立先(債権者)一社に対し、手数料500円と手続き費用(主に郵送料)1,500円の合計2,000円で済みます。
※複数の申立の場合、手数料は件数分、予納郵便切手代は1件増える毎に256円プラスとなります。

また、法的手続きであるとはいえ、調停なので和解が目的であるゆえに、資格制限などの制限規定もありません。

デメリット

債務返済の減額を目的とした手続きなので、申立人に支払い資力が無い場合は、債権者との交渉が成り立ちませんので、申立ができません。

また、申立は本人が行うのが原則ですので、申立書の作成や補足資料等の作成などをしなければいけません。同様に、平日の日中に決められた日時に、裁判所へ自分でと出向く必要があります。

裁判所から家族などに直接問い合などはありませんが、裁判所からの郵送物が本人に届きますので、同居する家族に知られる場合があります。

法的手続きなので、和解調書には法的拘束力があります。債務者が和解で决定した額を返済できなかった場合、債権者は債務者の資産を差押えすることができます。

返済途中の債務に対して過払い金が発生する場合は、特定調停でも過払い金の返還もしくは、過払い金を残債務から差し引いて債務額の減額などをすることはできますが、取引が終わった後(完済後)の過払い金請求や、過払い金請求のみの申立はできません。

当然、債権者が加盟する信用情報機関に、事故情報(ブラック)として完済後5年間登録されるので、その間は新たな借入れができなくなります。

裁判所が関わる手続きとはいえ、債権者が必ず従わなければならないということではありませんので、和解が成立しない場合もあります。調停が不調になれば、再び債権者からの取り立てが始まります。

その際、債権者からは残元金及び未払利息及び遅延損害金を加算した額を一括請求されます。

メリット ・申立すれは債権者からの取り立てから開放される
・将来利息をゼロにできる可能性がある
・競売、差押えなどの強制執行が止められる
・資格制限などの法的拘束力はない
デメリット ・返済能力が無いと申立できない
・裁判所から自宅へ通知が届くので家族に知られる可能性がある
・和解で決まった返済が滞った場合、債権者は差押えができる
・過払い金の請求のみの申立はできない
・個人情報に事故情報(ブラック)として登録(完済後5年間)されるので、その間、新たな借入れができない。
・和解が成立しない場合もある

特定調停の注意点

法律の専門家に依頼する「任意整理」と違い、特定調停は原則、自力で申立をします。調停に入れば調停委員が仲を取り持ってくれますが、ある程度の債務整理の知識が必要です。

また、特定調停は「約束通りの返済ができなくなったから、毎月の返済を減らして」と債権者にお願いをする制度ですから、自分で返済計画案を提示しなければなりません。

任意整理のように法律家がやってくれることを自力で行う必要があるので、単純に「返済額を下げたい」というだけでは、申立すら却下されることがあります。

また、裁判所で行う制度ですから、当然、調停日は平日の日中に行われます。仕事を休むことができる人などであれば良いですが、そう簡単に休めない人にとっては向いていない制度かもしれません。

費用が安いというメリットは、その分、自身の負担が大きくなるというデメリットでもあります。

現在、特定調停の申立数が減り、任意整理する人が増えているのは、費用はかかるが任意整理の方が手間暇がかからないというのが原因の一つと考えられています。

とはいえ、差押えなどの強制執行を止めることができたり、個人の債務だけでなく、事業主の債務も取り扱いできるという点においては、任意整理より優れています。